瘋癲読書日記

瘋癲読書日記 読んだのを書き止めて置かないと読んだかどうかも忘れてしまう侘しい瘋癲老人の遅読読書メモ。
スマホで書くのでミスタッチが避けられないのは残念だが便利(週一日記もスマホ)


メモ
モーム、重松清、大杉栄、フラナリー・オコーナー。 小森陽一。実存は本質について先立つ。主体性。投企。人間は自由の刑に処せられている。負ける。偶然性。アンガジュ。即自、対自、対他。疎外。ユマニスム、人間が目的ではない、労働、欲求、知覚、開示。 ガザ通信岡真理訳。 トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(映画)。 曽原三友紀。国木田独歩 運命。
パイドロス「懐かしい・・」p15。 おかしな二人組。 奇妙な無関心。 新約聖書 訳と註 全7巻(全8冊)」(作品社)田川建三、戸頃重基、 隅谷三喜男 闇の中の男 アナベル 河馬に噛まれる 交換書簡 新しい人の方へ 
白井聡「武器としての資本論」、毎日新聞佐藤優評、「・・スターリン主義体制の構造悪をよく理解している。その上での、新たな革命への道を真剣に模索しているのだと思う。評者は、人間の力による革命を信じない。それよりも外部(例えば神)の力によって、いつか現れる千年王国に備えて「急ぎつつ、待つ」ことが重要と考えている。
シェーン・バウアー著「アメリカン・プリズン」東京創元社、 「ザ・うらたじゅん」第三書館、「感情の歴史」藤原書店、高橋行徳著「それとは違う小津安二郎」鳥影社、皇国史観文春新書、「民主主義の非西起原について」以文社、沖縄米軍基地全史吉川弘文館、醜い日本人岩波現代文庫、永続敗戦論講談社+α文庫、サキの忘れ物新潮社、東京裏返し集英社新書、民衆暴力中公新書、「愛児の家史料」不二出版、資本論エッセンスT U 鎌倉孝夫 時潮社 つかこうへいはよく煙草を喫っていたようだ、廣松渉今こそマルクスを読み返す、 
アダム・スミス曰く、「 我々が食事をも手に入れられるのは、肉屋や酒屋やパン屋の善意ではなく、彼らが自分の考えるからである」今週の本棚、カトリーン・マルサル著、高橋璃子訳「アダム・スミスの夕食を作ったのは誰か?」鴻巣友季子評
野呂邦暢 古本屋写真集 岡崎武志ほか編ちくま文庫
問題の女 本荘幽欄伝 平山亜佐子
東京の古本屋 橋本倫史著
日刊イ・スラ 朝日出版社 モーム作アシェンデン 中村うさぎ、マツコデラックス著幸福幻想 別役実の風景

無垢の歌 大江健三郎と子供たちの物語 野崎歓 生きのびるブックス、人種主義の歴史 岩波新書、自由対談 中村ふみ乗り 河出書房新社、ウィルスってなんだろう ちくまQブックス、歴史と向き合う 朴裕河 毎日新聞 フィネガンズ・ウェイク



[2022年12月9日]

大江健三郎の同時代ゲーム
この題名の意味がわからず、発行時点からずーっと気になっていた。
ネットで調べると、
「四国の森の中の小さな村の歴史をすべて一枚の絵に表現し、地図の上に並べ、巨大な一枚の絵巻物のようなゲーム盤に仕上げようとした男の回想録」(ip2000 server-shared.com)
更に、
「大きい風景、大きい出来事の流れを書きたいと思ったんですね。それも、自分が生きてきた同時代というまだ四〇年だけれども、その自分が生まれる前の六十年過去に遡って、百年間の日本の近代化ということが、どのように日本人に経験されたかーそれをある限られた一つの舞台で行われる芝居のように、あるいは大がかりなゲームのように書きたい。それが「同時代ゲーム」というタイトルを作った理由です。」(大江健三郎 作家自身を語る、聞き手尾崎真理子新潮文庫、平成二五年発行、p141、初出二〇〇七年の増補改訂版)
これでいいんだろうが、そんな風には読めなかった記憶がある。
納得している読者は少ないと思う。

[2022年11月16日]

生井久美子超越「ゆびさきの宇宙ー福島智・盲ろうを生きて』二〇一〇年三月第八刷発行を義姪に送る。
里みちこさんの詩集を買った際、里みちこさんより戴いた本である。
この本のp232に里みちこの詩『涙』が引用されている。
「この涙は どこから やってくるんだろう
うれしいときや かなしいときよりも
もっと奥からやってくる 透き通った静かな涙(略)
わたしの心の底の底 そこからやってくる涙・・・・・」
この本をRKに送呈した。

[2022年10月19日]

佐藤優著「ドストエフスキーの預言」二〇二一年十一月文藝春秋社刊を図書館から借りて読む。
前書き 私ドストエフスキー p4
フロマートカ p7
第1章 ホドスラビッツェ村 p14
日本キリスト教会浦和教会・・平田牧師 p19
第2章 『ロシアとヨーロッパ』 p36
一九一四年・・知識人宣言・・・・・レントゲン、プランク、・・オストヴァルト p59
第3章 ミラン・オポチェンスキー p56
第4章 無神論 p77
パン・・・自由・・p88
共産主義が大審問官・・、ナチズムは大審問官ではない。ナチズムはニヒリズムの革命だ。大審問官は、ヒューマニスト p95
ロシアの共産主義は、本質的に宗教的現象 p96
第5章 大審問官 p98
マサリク『ロシアとヨーロッパ』 p106
ロシアにおいて、政治、歴史哲学、社会学はすべて文学の形態で現れる p106
ミールという単語は、農村共同体、世界、平和を同時に意味する。 p109
〈大審問官・・・この叙事詩は、人生と歴史の概念についてのドストエフスキーの基本思想を提示する。これは『カラマーゾフの兄弟』全体とドストエフスキーのその他の長編小説の、簡潔な繰り返しにすぎない。・・・・〉 p114
第6章 カトリシズム p120
第7章 神人論 p143
・・中世的な天上にいる神をソロビヨフは信じていない。当然、ドストエフスキーもそのような神を信じていない。 p146
〈・・彼の理想はキリストではなく、ロシアのキリストである。・・〉 p150
〈・・・「不合理なる故に、我は信ず」・・〉マサリクとの対話 p151
ドストエフスキーは、教会が国家を吸収すべきであるという時代錯誤の主張・・p152
民意が一人の人間に体現されているという了解があるならば、独裁であっても民主主義である。 p153
人間が、自らの意思を誰かに委任することができるという擬制をとった瞬間に、民主主義に独裁制が内包されてしまうのだ。そして、その可能性をアドルフ・ヒトラーは、一九三〇年に具現したのである。民主主義の反対概念は、人間ではなく、神が国家を統治するという神権政治なのである。 p154
そして、レーニン、トロツキー、スターリンは、この新しい救済宗教を全世界に輸出しようとした。 p155
〈・・キリストの真理、すなわち永遠の愛と絶対の慈悲という真理が実現されるためには・・・対立さえしている強制と欺瞞という手段が必要なのだと仮定することは、とりもなおさず、この真理が無力であり、悪は、善よりも強いということを認めることになのであり、つまるところ善を信じず、神を信じないということなのだ。〉 p155
〈・・また民衆に要求されているものは、キリスト教的な実際の信仰告白ではないーただ法皇を承認し・・・ 〉 p156
ドストエフスキーは、大審問官を否定的に描いているのではない。大審問官、イワン、そしてゾシマ長老やアリョーシャにも、悪を悪の力で規制すべきであるという信念がある。 p156
ドストエフスキーにとって、民族的主的はポーランド人なのである。ポーランド・ナショナリズムは、カトリシズムと結びついている。 p160
ドストエフスキーもプロテスタンティズムの中に、カトリシズムの否定だけを、つまり「抗議すること(プロテスト)」だけしか見ることができず、p161
第8章 人神論 p165
問題はドストエフスキーが神を信じていないにもかかわらず、神を信じていると装っていることだ。 p165
突然・・・新たな場面に突入する。・・・ドストエフスキーの観念が生み出した「機械仕掛けの神がであり、 p169
ドストエフスキーは、ヨーロッパの影響を受けた近代人である。従って、もはや神を信じることができない。 p174
神人論・・「神が人になったのは人が神になるためである」 p175
この地上において、神人の関係が正しく保全されている場がある。それは教会だ。 p178
教会の長がイエス・木リストであるというのは、神学的に正しい理解だ。 p178
ソロビヨフは、万人救済節にたつ。従って、神の国を人間の側から準備することが可能であるという立場をとる。・・人神論・・・ p180
ドストエフスキーにおいて、神権政治は、この地上でロシア帝国と協会が一体となり、人々を統治することだ。 p183
第9章 無神論者ゾシマ p187
ドストエフスキーは、ゾシマ長老を狂言回しにもってくることによって、熊崇拝を復活させているのだ。 p191
近代の神秘主義は、最初の段階で、超越性に身を委ねるという命がけの飛躍をする。その後、物事は、すべて合理的に進んでいくことになる。 p193 
カール・マルクス[向坂逸郎訳]『資本論 第一巻』岩波書店、一九六七年、一三八頁 
商品は貨幣を愛する。一四一頁  p194
大審問官、ゾシマ長老、イワン・カラマーゾフは、同じ事柄を別の言葉で説明しているにすぎない。・・・ニヒリズムに基づく無神論だ。 p195
〈・・スタヴローギンは自らの懐疑の中で、シャートフを有神論の方に導いたが、しかして同じ時期にキリーロフを無神論の方に導いたのである・・・〉 p196
『手帖』 p198
ドストエフスキーに流れるニヒリズム・・・・それが官憲に察知されることを恐れる。・・・・・ドストエフスキーは、逆説的に信仰を示すために、あえて無神論を説いたのだという予防線を張っている。 p199
「ホサナ」・・・救済は無神論を通じて逆説的にやってくるとドストエフスキーは説く。 p200
ゾシマ長老はフォイエルバッハ流の無神論者である。・・・マサリクの理解では下さい『カラマーゾフの兄弟』におけるゾシマ長老の役割を、『悪霊』ではチーホンが果たしている。 p202
「スタヴローギンの告白」 p203
ウラース p204
ネクラーソフの詩『ヴラス』 
ロシア正教会は・・・パンは真のキリストの身体に変化する。そのパンを拳銃で撃つということは、キリストを撃つということだ。 p205
ロシア正教の伝統では、聖人は腐らない。 p208
  第10章 悪臭と悪魔 p209
ゾシマは動物崇拝を奨励する偶像崇拝者である。 p218
「ウサギのソースを作るためにはウサギが要る。神を信じるためには神が要る」スタヴローギン・・・フォイルバッハの無神論と極めて神話的だ。 p219
レーニンは、・・・労働者の置かれている状況が悪くなればなるほど革命の可能性が高まると考えたのである。 p225
汎悪魔論的言説を展開するフェラポント 
〈「神父、出ていきなさい!」 バイーシーがきっぱり言った。・・・〉p227
〈「出て行くとも」・・・p228
流刑地でキリスト教に転向した。・・・ニヒリズムを放棄したということに過ぎない。p231
第11章 懐疑 p232
ドストエフスキーは、敬虔な正教徒を偽装している。しかし、神を信じることができない。無神論を信じることもできない。
ドストエフスキーを「残酷な才能」と呼んだ。p235
〈ドストエフスキーの主要なモチーフを、「悔悟するニヒリスト」という言い方で公式化したストラーホフは、全く正しい。・・・〉 p236
旧約聖書の「コヘレトの言葉」空(へベル)と親和的だ。p237
ロシア人は無神論者になれないというのがドストエフスキーの認識だ。 p238
ゾシマは無神論という信仰をもつことができない。・・神肯定と神否定の間を振り子のように振動するのである。
度数自身が全く正当にも、無関心主義を真の不信仰であり無神論であると見なした。 p239
ドストエフスキーは、カントよりヒュームに近い。 p243
『罪と罰』のソーニャにしても、信仰と売春の間を移動するだけで、このような行動の根底にある懐疑主義を克服することができていない。 p244
マサリクは、ドストエフスキーは、イエス・キリストを信じることもできないが、拒否することもできないという、不安定な状態を生涯に渡って続けたと見る。  p246
マサリクは、ドストエフスキーの思想に危険を感じていた。ドストエフスキーのようなニヒリストによる革命がおきる。  p247
第12章 文明の自殺 p255
西欧は、反共主義をとったことによって思考停止に陥ってしまった。 
西欧がチェコスロバキアのズデーデン地方をナチス・ドイツに対して売り渡した・・・p257
ここで図書館から借りた本を返却し、自前で買った本、「ドストエフスキーの預言」になる。 
〈レーニンと彼の文学的生き写しであるマクシム・ゴーリキーとは、彼らの心と行為とで隷属А農民とプロレタリアートとの苦悩を結び合わせただけでなく、プーシュキンからトルストイやチェーホフにいたる、ベリンスキーやゲルツェンからプレハノフにいたる偉大な指導的精神の、・・・〉 p258
ツワイクはオーストラリア生まれのユダヤ人作家だ。・・・・・一九四二年二月2時3分二十三日、妻ロッテとともに服毒自殺をした。 p264
〈・・超自然的美を持った絶対敵純潔と栄光を憧憬し追求しない限り、知上の美と愛は存在する事が出来ない・・〉 p276
第13章 リアリズム p277
ドストエフスキーは、ロシア帝国の解体に実存的恐怖を感じた。ドストエフスキーは、革命への衝動に突き動かされるとともに、この衝動によってロシア帝国が崩壊することを恐れた。 p279
スタブロージンの行動の規範は衝動ではなく、理性である。・・・スタブロージンは、合理主義者で自由主義者である。 p283
フロマートカにとって超越性は「神は神である」という、人間の目に見えないが、リアル(現実的)な存在なのである。
フロマートカにとって重要なのは、イエス・キリストとの人格的交流を追体験的手法によって回復することだ。この視座からフロマートカはドストエフスキーを読み解くのである。 p292
ドストエフスキーの作品から、マサリクのようにニヒリズムとシニシズムを、フロマートカのように啓示と超越性を読み解くことも、共に可能なのである。 p293
ドストエフスキーは、「ラザロの復活」に注目した。復活の前提に、人間の苦難があるとフロマートカは考える。 p295 第14章 インマヌエル p299
神は人間についてすべてのことを、具体的に知っている。・・・それだから、ドストエフスキーを実存主義的に解釈することは誤りだ。 p300
〈人を殺した瞬間、ラスコルニコブは自分が自分の生と運命の市歯医者で無かったことを自覚したのである。 p303
「見よ、おとめが身ごもって男の子を産む。
その名はインマヌエルと呼ばれる。」
この名は、「神は我々と共におられる」という意味である。 p306
ソーニャと囚人たちの関係に、イエス・キリストと神の関係の類比があるということに気づいたことで、ラスコーリニコフは、目に見えない神の実在をつかんだのだ。フロマートカはこう強調する。 p313
「踏み絵」
売春で生きていくしかないソーニャの苦しみをイエス・キリストはわかっている。 p315
第15章 外部 p322
フロマートカは、バベルの塔の物語と大審問官伝説に通底する地下水脈があると考える。 p323
フロマートカは、大審問官を中世人としてではなく、啓蒙主義を体現した近代人と見ている。・・・〈神を地上引き下ろし、キリストと彼の権威ある真理を人間化し、キリストを我々の「宗教経験」に従属させ、聖なるものゝ領域を人間の手で速に侵犯しようとする現代神学と、その傲慢である〉・・ p324
フロマートカは大審問官を愛していると解釈する。 p326
大審問官は、この青年をイエス・キリストとの類比で理解したのだ。p329
なぜ大審問官は、魂を揺さぶられてかかわらず、行動を変えないのか。それは大審問官が官僚だからである。 p332第16章 カント p344
キリスト教は?アンチ・ヒューマニズムである。 p334
フロマートカには、ロシアの共産主義を肯定的に受けとめる基盤がデキていた。 p335
大審問官デンの中でイエス・キリストとみなされている青年こそが、他者なのである。他者が存在歯なければ、同情も愛も存在しない。 p341
第16章 カント p344
サーシャ「スターリンはカントスキルだった」 p345
サーシャ「そう。そう言うことだ。物自体を所有することよってスターリンは神になった。物自体を所有していない普通の人々は、スターリンから物自体の影について教えてもらうことになる。スターリンは地上における真理の保全者ということになる」 p348
第17章 ニヒリズム p359
マサリクは、社会的な価値観が変動するときにそれに対応できなくなり、人間は自殺を試みるという結論に至った。 p359
ニュートン・・・ここから広教会主義という潮流が英国国教会に生まれた。 p361
ドイツ古典哲学、マックス・シュティルナー、フォイエルバッハ、マルクスの系列
他方、シュテルナーから、ニーチェへのニヒリズムの系譜に発展したしていった系譜・・・ p374
マサリクは、レーニン主義がマルクス主義とは別の起源をもつことに気づいていた。それは帝政ロシアのニヒリズム思想である。 p375
ロシアの共産主義、ドイツのナチズムは、ともにニヒリズムによる革命とマサリクは考えた。 p377 第18章 エマヌエル・ラードル p381
ラードルはマサリクの盟友 p382
マサリクは・・・ドストエフスキーがもった人間存在の根底が不安定であるという危機意識がわからなかった。 p384
ドストエフスキーは、これから理解不能な世界が出現することを預言した。
大審問官に両犠牲・・・自由に耐えることが出来ない人間に、現実的に平等(パン)を保証する愛の人・・同時に暴力による人間に対する支配・・・ p385
資本主義の発達が不十分であるロシアに共産主義社会が実現する可能性はないとマサリクは考えていた。 p388
しかし、同時に近代人は、素朴に神を信じることができない。・・・・・神を信じたいが、信じることができないという近代人が抱える根源的葛藤と真摯に取り組んだのがドストエフスキーであるとフロマートカとラードルは考えたのである。 p392
真理はなぜ必要なのか? p396
キリスト教徒が、イエス・キリストに徹底的に従い行動していなければ、大審問官が生まれることもなかったのだ。 p397
マルクス主義はその本質において宗教なのである。 p398
ナチズムの台頭に関し、ドイツのカトリック教会は終始批判的だった。これに対しプロテスタント教会の多数派はナチズムを支持した。 p399
〈真の哲学舎は、預言者イザヤの立場から出発しなければならない〉  p399
ナチズムはニヒリズムに基づく革命だ。ナチス主義者はヒトラーを全治全能と考えている。しかし、ヒトラーも神によってツクラレタ。被造物を崇拝刷ることは、偶像崇拝として神によって激しく禁止されている。 p400
第19章 隙間 p402
「ロシア人の本、特に小説に対する情熱は、日本人や西側の連中と本質的に異なる。・・・暗喩や反語・・・」p408
フェリエトン p409
ソ連社会は、建前と本音の二重構造になっている。ロシア人はその隙間をどう生きるかをこころ得ている。・・・私の場合も、大使館の建前と本音を見分け、その隙間でどう生きていくかを素早く身につけた。 p417
合理主義者で冷徹な思想家であるイワンと、自分が直接手を下していない殺人に直面して、精神に変調を来してしまうようなあまりに繊細なイワンとの間に、大きな隙間がある。恐らく、ドストエフスキー自身にもこのような隙間があるのだと私は思った。 p418
マールボロ 煙草 p420
第20章 ベルジャーエフ P423
「ベルジャーエフはドストエフスキーを宗教哲学の文脈でとらえている」
「マサルはほんとうにそう思うのか。僕はドストエフスキーに独創性を認めない。そこらのサロンで聞きかじった話や新聞で報じられた事件を脚色して、大衆向けの小説を書いたに過ぎない。・・・」 p435
「ソ連体制を解体する素振りをしながら下さいソ連体制を維持する役割を果たすイデオローグだ。」
ベルジャーエフは、共産主義ヲ徹底的人間批判したが、ロシア人にとっての祖国はソ連しかないと明言していた。 p440
第21章 対話 p441
「暴力を軸にして考えるから、ソ連国家の特徴が見えなくなる。原罪を切り口にすべきと僕は思うんだ」と私は言った。 p446
「・・・イワンが言い添えた。「おれは心から願っているんだ、やつがほんとうにやつで、おれじゃなけりゃいい、ってな!」 p450
「ベルジェーエフはドストエフスキーを宗教哲学の文脈出とらえている」
「マサルはほんとうにそう思うのか。僕はドストエフスキー2独創性を認めない。そこらのサロンで聞きかじった話や新聞で報じられた事件を脚色して、大衆向けの小説を書いたにすぎない。・・・」P435
第22章 ヤン・ドウス p463
「なんか『資本論』冒頭の交換形態のようだな」、聖書 p465
「マサルのアテンド係でヤン・ドゥスという神学生をつける」p475
「・・・しかし、フョードル・カラマーゾフ、イワン・カラマーゾフ、さらに大審問官の人間像は甘いと思う。人間はもっと冷笑的で、信頼できない存在だということを、社会主義の実験を通じてチェコ人は知った。・・・」p481
第23章 ゲルハルト・バサラーク p484
東ベルリンから来たバラサーク教授夫妻 p491
第24章 ほんものの無神論 p505
ラスコーリニコフは熟慮と決断の結果、回心したのではない。ソーニャ福音書を読むのを聞いて、決断の夜地もなく改心した。決断をジュウシすると実存主義に生ってしまう。 p510
毒麦のたとえ p512
近代の世俗化過程において、宗教性が克服されるのではなく、意識から追い出されてしまうというマホベッツの洞察は鋭い。 p516
・・・たとえアヘン的な要素があっても、そこにある人間を突き動かす力を無視してはならない。 p518
マルクス主義者が・・・・・宗教を捨て去るときに、このような超越性も失われてしまう可能性がある。そうなると人間はニヒリズムから抜け出すことができなくなってしまう。
死に直面したときに、大規模な天災地変、あるいは戦争に直面したときに超越的なものを求め、無神論を放棄し、再び神に頼ってしまう。このような不徹底な無神論を超克し、神にいっさい依存することのない、超越的な力を内部に含むできる無神論を構築することができる無神論を構築することをマホベッツは意図する。 p520
無神論は、それが包括的な弁証法的唯物論の世界および社会秩序の構成部分であるところのみ、確固とした基礎を持っており、宗教の上位に位置づけられることができる。p521
スターリン主義は、スターリンという現人神に対する崇拝を求めた。 
論理構成としては、マルクス、エンゲレス、レーニンによって解明された普遍的心理学スターリンという人格において体現されているということだ。 p522
《マルクス主義は一つの宗教理論でもある〉 p523
マホベッツの理解では、マルクス主義とキリスト教h同じ事柄を扱っているのである。 p524
マホベッツはフロマートカによる対話の呼びかけに積極的に応えたのだ。 p526 第25章 亡命してはならない p527
ソコロフスキー・・・KGBの協力者・・・臭いがする  
カラマーゾフの兄弟のミハイル・ラキーチン神学生・・・ソコロフスキーはまさにラキーチンのようなやつだった。p534
同じ事柄を同じタイミングで語る場合でも、チェコスロバキアの中で語るのと、西側で語るのでは、その意味がまったく異なる。 p538
第26章 行為の神学 p546
ドストエフスキーが想定する神も、「神なき時代」の神である。p547 
日本の総合大学に独立の学部としての哲学部はありません p577
バルトは『カラマーゾフの兄弟』Word神中心の物語として読んでいます。 p562
最終章 「カラマーゾフ万歳!」 p565
フロマートカ「フィールドはこの世界である」
ロシア人はドストエフスキーから神について知ろうとする。チェコ人はドストエフスキーを通じて人間について知ろうとする。 p570
『人間の顔をした社会主義がほんとうに実現できると考えました。 p571
スターリン主義の本質がシニシズム p572
ドストエフスキーのキリストや神に関する過剰なおしゃべりには、人間の可能性を神に仮託する悪しきヒューマニズムを感じる。 p573
万人救済論 p575
ロシアの政治、思想の両面で、ニヒリズムは・・・社会を変容させる積極的な運動であるという固定観念がある。 p577 ロシアには西欧的意味でのニヒリズムが存在しない p578
大審問官伝説、・・ラスコーリニコフの回心を、上からキリスト論で読み解いたのがフロマートカだ p579
誰にも誤読の権利がある ・・p580

[2022年9月19日]

高橋源一郎斎藤美奈子「この30年の小説、ぜんぶ 読んでしゃべって社会が見えた」二〇二一年十二月河出新書
第一章 震災で小説が読めなくなった ブック・オブ・ザ・イヤー 2011 p19
生存にかかわるリアリズムは最強だ p22
『マザース』金原ひとみ/『苦役列車』西村賢太/『ニコニコ時給800円』海猫沢めろん 
謎の「いい女」小説はちょっと前衛 p31
『きことわ』朝吹真理子/『私のいない高校』青木淳悟/『いい女VS.いい女』木下古栗/『これはペンです』円城塔
緊急時、ヒトはクマやウマになる p45
『馬たちよ、それでも光は無垢で』古川日出男/『雪の練習生』多和田葉子/『神様2011』川上弘美 
君は3・11を見こしていたのか p54
『ボブ・ディラン・グレーテスト・ヒット第三集』宮沢章夫/『戦争へ、文学へ「その後」の戦争小説論』神野俊史/『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』開沼博/『災害ユートピア なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか』レベッカ・ソルニット 高月園子訳
第二章 父よ、あなたはどこに消えた! ブック・オブ・ザ・イヤー 2012 
原発事故は終わっていない p76
『阿武隈共和国独立宣言』村雲司/『むかし原発 いま炭鉱』熊谷博子/『線量計と機関銃』片山杜秀 
母と娘の確執が文学になるとき p89
『冥土めぐり』鹿島田真希/『東京プリズン』赤坂真理/『母の遺産 新聞小説』水村美苗
ここにいたのか、落ちこぼれ男たち p98
『K』三木卓/『大黒島』三輪太郎/『その日東京駅五時二十五分発』西川美和
嵐の中の、もうひとつの避難所 p107
『燃焼のための習作』堀江敏幸/『ウェストウィング』津村記久子/『私のいなかった街で』柴崎友香
多色刷りの性と個性が未来を拓く p116
『ジェントルマン』山田詠美/『奇貨』松浦理英子
第三章 近代文学が地震をなくしてる ブック・オブ・ザ・イヤー 2013 p125
母の娘の第二章はけっこう不気味 p128
『爪と目』藤野可織/『abさんご』/黒田夏子/『なめらかで熱くて甘苦しくて』川上弘美
巨匠にとって「晩年の様式」とは p137
『色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年』村上春樹/『晩年様式集 イン・レイト,スタイル』大江健三郎
斎藤 大江健三郎から理屈っぽい部分を除くと村上春樹 p138
高橋 ふたりとも翻訳文体で、翻訳の文章というのは、「これは自分じゃない」・・・自分を消す p138
高橋 あれだけ読者がいるっていうことは、村上さんのそういうメタ・メッセージに反応している・・p140
高橋 ・・・だからもしかすると、最後の父権制はここにあるかもね。 p140
齊藤 そうか、ふたりとも自己肯定感がすごいよね。 p141
高橋 大江さんは、自分の過去のテキストも全部、自分の作品に必要な要素としてあって。過去のテキストを読み返すたびにまた新しい意味が生まれる、ってことをくり返しやってきた。
マルクスも驚く「労働疎外」のいま p146
『工場』小山田浩子/『スタッキング可能』松田青子
齊藤 そう、マルクスの予言に反して、戦後、中間層が増えたはずだったのに。
高橋 中間層、また減ってきちゃって。 p148
作家が考える震災前と震災後 p153
『想像ラジオ』いとうせいこう/『初夏のいろ』橋本治
わけがわからない「大作」の中で起きていること p162
『南無ロックロールニ十一部経』古川日出男/『未明の闘争』保坂和志
齊藤 ひとつ言えるのは、ちょっと大江さんぽいかもしれない。世界史と音楽の歴史といろいろ追いながら、最後は私に返っていってしまう。 p163
齊藤 一応読者のために内容を言うと、この間堤清二さんが亡くなったけど、セゾン分化のその後ですよね、これって。 P167
青春はあんまりだ p169 『青春と変態』会田誠/『永山則夫 封印された鑑定記録』堀川恵子/『世界泥棒』桜井晴也
齊藤 そうなの。スメルジャコフは自分だとおもうって言ってるんだよね。 p173
高橋 うん。『三丁目の夕日』みたいな明るい話じゃない。 p174
齊藤 当時の社会環境がとてもよくわる歴史の書 p175
『バトル・ロワイヤル』 p176
第四章 そしてみんな動物になった!? ブック・オブ・ザ・イヤー 2014 p181
ステキな彼女に洗脳されて p184
『死にたくなったら電話して』李龍徳/『吾輩ハ猫ニナル』横山悠太
斎藤 そこを近松風に、虚実皮膜で文学として形にしていこうとすると こうなるのかナア p191
家こそラビリンス p193
『穴』小山田浩子/『春の庭』柴咲コウ友香
21世紀の私小説は社会批判に向かう p200
『33年後のなんとなく、クリスタル』,田中康夫/『未闘病記 膠原病、「混合性結合組織病」の』笙野 頼子/『知的生き方教室』中原昌也
高橋 かわたれどき p204
高橋 躊躇い p205
近代の末路を描く「核文学』p211
『震災後文学論 あたらしい日本文学のために』木村朗子/『東京自叙伝』奥泉光/『アトミック・ボックス』池澤夏樹/』『聖地Cs』木村友祐
保存された記憶、または90歳の地図 p222
『徘徊タクシー』坂口恭平/』『ラヴ・レター』小島信夫/『夢十夜 双面神ヤヌスの谷崎・三島変化』宇能鴻一朗
第五章 文学のOSが変わった 平成の小説を振り返る(2019) p237
下り坂30年 p242
斎藤 2000年前半は、小泉首相、ブッシュ大統領、石原都知事という危険なカード・・・一方の90年代は、小渕首相、クリントン大統領、青島都知事  p248
今から思うと平成を予言していた p249
『タイムスリップグリコ・コンビナー』+『なにもしていない』笙野頼子/『親指Pの修行時代』+『犬身』松浦理恵子/』 『OUT』/桐野夏生
斎藤 『OUT』・・・格差社会 p252
プロレタリア文学とプレカリアート文学 p255
『中原昌也 作業日誌2004→2007』中原昌也/『ポトスライムの舟』津村記久子
斎藤 『ポトスライムの舟』もプロレタリア文学 p256
異化される「私」 p258
『インストール』綿矢りさ/『コンビニ人間』村田沙耶/『スタッキング可能』松田青子/『野ブタ。をプロデュース』白岩玄
斎藤 労働疎外という批判はもう通用しない。疎外されてるほうがいいんですっていう。 p260
高橋 「就活人間」 p262
地方語と翻訳語の復権 p263
『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』川上未映子/『告白』+『パンク侍、斬られて候』町田康/『イサの氾濫』木村友祐/『献灯使』多和田葉子/『ペルカ、吠えないのか?』古川日出男
高橋 口語短歌も、若い人の中で巨大な層をなしています。けれども現代詩には、・・・p264
高橋 ローカルな言葉を使うだけでなくて、ひとつの言葉をローカルな言葉に翻訳して、そこで生じる違和感からはじめようとするやり方ですね。 p267
相対化される昭和 p269
『ピストロズ』阿部和重/『東京プリズン』赤坂真理/『巡礼』+『草薙の剣』橋本治/(あ・じゃ・ぱん』+『ららら化學の子』矢作俊彦/『残光』+『うるわしき日々』小島信夫
斎藤 橋本さんの『草薙の剣』もわかりやすくある種の昭和史を辿っています。
日場の中の戦争 p277
『バトルスピリッツ・ロワイヤル』高見広春/『阿修羅ガール』舞城王太郎/』『虐殺器官』伊藤計劃/『となり町戦争』三崎亜記/『わたしたちに許された特別な時間の終わり』岡田利規
当事者として書くこと p282
『バナールな現象』+『雪の階』奥泉光/『神様 2011』川上弘美
第六章 コロナ禍がやってきた 令和の小説を読む(2021) p287
セクシャリティをめぐって p292 『オーバーヒート」千葉雅也/『ポラリスが降り注ぐ夜』李琴峰
海外に渡った女性たちの選択 p300
『ぼくはイエローでホワイトで?ちょっとブルー』+『他者の靴を履く アナーキック,エンパシーのすすめ)』プレデイみかこ/『道行きや』伊藤比呂美
SNSが身体化した社会で p309
『かか』宇佐美りん
世界に羽ばたく日本文学 p313
『夏物語』川上未映子/『献灯使』多和田葉子/『密やかな結晶』小川洋子/『JR上野駅公園口』柳美里/『コンビニ人間』村田沙耶/おばちゃんたちのいるところ』松田青子
過去の感染商品文学を読む p319 『ペスト』カミュ
コロナ文学は焦って書かなくてもいい p324 『ペストの記憶』デフォー/『感染症文学論序説 文豪たちはいかに書いたか』石井正巳
コロナ禍を描く日本文学最前線 p331
『旅する練習』乗代雄介/『アンソーシャル ディスタンス』金原ひとみ/『貝に続く場所にて』石沢麻依
記録を残すことの意義 p342
『仕事本 わたしたちの緊急事態日記』/『コロな黙示録』海堂尊/『臨床の砦』夏川草介
おわりに 副題が「読んでしゃべって社会が見えた」になるまで 斎藤美奈子 p347

[2022年9月8日]

橘玲著「無理ゲー社会」小学館新書二〇二一年十一月刊を図書館から読む。
はじめに「苦しまずに自殺権利を」求める若者たち p3 
part1・「自分らしく生きる」という呪い p17 
1.『君の名は。』と特攻 p18
知覧のスプリチュアル体験
世界を救うより「自分らしく生きる
世界はますます「リベラル」になっている
「夢の洪水に」に溺れかけている若者たち
わたしたちは「ばらばら」になっていく
ゲシュタルト心理学 p30
アメリカの4人に1人は親友がいない
愛情空間・友情空間・貨幣空 ではなく、つながっている
性愛の肥大化と友だちの消滅
「いちばん嫌われるのは友だちとつるんでやってくることで、そういう奴らにはパスを回さない」 p41
スクールカーストの世界
ヴァーチャルな評判でつながる世界
「リベラル化」がすべての問題を引き起こしている
UBI(ユニバーサル・ベーシックインカム)や、「主権通貨」をもつ国はほぼ無制限に・・ p47
2.「自分探し」という新たな世界宗教 p50
カウンターカルチャーへの賛歌
超エリートの秘密「愛することも愛されることもない」敗残者
バークレーで生まれかわる
自分のセクシャリティと決着をつける
43歳の初体験
法学部教授から「魔法使い」へ
「優越」と「劣等」の二重アイデンティティ
チャールズ・ライク p68
そして新たな分断線が引かれた
part2・知能格差社会 p71
3.メリトクラーのディストピア p74
メリットによって人民が支配される社会 階級社会から「知能による格差」へ
才能の「貴族制度」
5年ごとに知能テストを受ける
絶望死からAIまで
知能の高い女がポピュリズムを牽引する?
産業のサービス化とは、「知能がたりないために、通常の経済体制に中でふさわしい職業を見出すことができない人たち」のための保護業種の婉曲な表現だ。 p86
ポピュリストと偽善者
サンデルが告発するメリトクラシー社会
経済的報酬と道徳を切り離す
「運の平等主義」という遺伝決定論
哲学芸人のパフォーマンス
4.遺伝ガチャで人生が決まるのか? p100
メリトクラシーは人間の本能
日本人の3分の一は日本語が読めない
アメリカ人の半分は仕事に必要なスキルをもっていない
子育ての努力には意味がない 遺伝なのか、環境なのか
「頑張れないを」許さない社会
「進化論的リベラル」へ
part3・経済格差と性愛格差 p121
5.絶望から陰謀が生まれるとき p122
「白人差別」のレイシズム
「下級国民の王」トランプ
「絶望死」というパンデミック
非大卒は大卒より2倍も死んでいる
経済格差は諸悪の根源ではない
「黒人化」するプアホワイト
日本の非大卒は「教」育に期待しなくなった
大卒エリートの所得も増えなくなった
脳は陰謀論で思考する
ヒトの脳はもともと陰謀論的に思考するよう「設計」されているのだ。 p147
「公正」な世界を取り戻す闘い
6.「神」になった「非モテ」のテロリスト p153
2人の「テロリスト」
「不細工には生きる意味がない」
告白と失恋
「なりすまし」の投稿
「何か壊れました。わたしを殺したのはあなたです」
「不細工キャラ」から覗く傷口
女神化と一発逆転
男は競争し、女が選択する
「貧乏な男はモテない」現実
女が自立すると非モテが増える
非モテが「神」になるとき
「大きく黒い犬」と「人間廃棄物」
・・秋葉原無差別殺傷事件など、・・・犯人はいずれも現代社会において「自分らしく生きられない」男だ。 p183
「無理ゲー」から解放されて
part4・ユートピアを探して p189
7.「資本主義」は夢を実現するシステム p190
一夜明けたら「サイテーの人間」
夢をかなえるタイムマシン
シリコンバレーの「夢ビジネス」 資本主義のレバレッジシステムは、総体としては人類にとてつもない恩恵もたらした。それを”邪悪”なものとして否定するのは、控えめにいってもバカげている。

「富のベルカーブ」が崩れていく
後期近代というロングテールの完成
平等な世界をもたらす四騎士
億万長者がどこにでもいる世界
日本 ミリオネア302.5万人 総世帯数4080万世帯 ミリオネア率7.4% p206
「脱物質化」という奇跡
夢をあきらめることはできない
希望の四騎士 「テクノロジーの進歩」「資本主義」「反応する政府」「市民の自覚」 p213
「苦しまずに自殺する権利」求める理由
日本社会を覆う閉塞感は、日本人が人類史上、未曾有の長寿と健康(幸福)を実現した結果なのだ。 p214
8.「よりよい世界」をつくる方法 p216
ユニバーサル・ベーシックインカム(UBI) p217
移民にもUBIを支給するのか p218
「日本人」はいくらでも増やせる
MMTへの3つの疑問
国家が「最後の雇い手」になる
「政府による雇用保障」プログラムとは? p227
資本主義より残酷なディストピア
功利主義的な富裕税
MMT派は「大規模な財政拡張によって「最後の貸し手」のような理想主義的な政策を実施すればいい」という。 p232

超富裕税が”左派ポピュリズム”の主流へ
結婚に失敗すると社会の最底辺に突き落とされる社会 貧困に陥るのは別れた夫(父親)が養育費を払わないからだ。 p241
母親だけが社会の最底辺に突き落とされる「自己責任」にされてしまう。 p242

「積極的雇用政策」は誰に有効なのか
男の失業者とシングルマザーの母集団はちがう
コロナでわかった「日本の敗戦」
デジタル通貨を使った「負の所得税」
合理的な選択に誘導する「ナッジ」
社会を合理的に設計する「メカニカルデザイン」
ワイルが提案する「共同所有自己申告税(COST:common ownership self-assesssed tax)l」では、すべての私有財産に定率の税(富のCOST)をかける。 p254
市場原理から「共産主義」に至る道
日本では一部でマルクスや『資本論』の再評価が熱心に行われているが、100年も前の思想家が考えたことが現在の高度化・グローバル化した知識社会/資本主義経済にそのままあてはまるわけがない。 p259
エピローグ 「評判格差社会」という無理ゲー p262
原理的に解決不可能な問題
レイプができないようにデザインされた進化
「生まれてこなければよかった」という思想
世界は「ばらばら」になるように物理的に決定されている
エリート層と無用者階級
知能を強化するテクノロジー
機械生命ボーグのようになっていく
あとがき 才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア p280 わたしたちは、なんとかしてこの「残酷な世界」を生き延びていくほかない。p284
引用文献はしっかり記載され、好著である。

[2022年8月26日]

中村桂子、内藤いづみ著「人間が生きるってこういうことかしら?」ポプラ社二〇二二年二月発行を読む。
以前?書店で立ち読みして、良さそうと思い吉村彰雄にプレゼントした。今回しっかり読んでみた。
あるボランティアの方が、「何をするかというより、自分がそこにいるということに意味があるんだとわかって幸せだよ」 p75
喜多方市の市長さんが・・・特区を利用して市内の小学校に「農業科」を設置しましょう・・・p242

[2022年8月24日]

柳川悠二著「甲子園と令和の怪物」二〇二二年八月発行小学館新書を読む。
大船渡高校野球部監督作品國保陽平が甲子園岩手大会にピッチャー佐々木郎希を登板させなかったことを中心に、高校野球の選手育成に関わる書であり、高校野球というものがどういうものなのか、少しわかった。

[2022年8月20日]

城山三郎著「そうか、もう君はいないのか」新潮文庫平成二十二年(2010年)刊を読む。
発行された時、話題になった記憶がある。
同級生大森の追悼文を考えていると、フーッとこの本の題名が思い出され、読む。
城山三郎が馴れ初めから奥さんとの関わりについて書いた本である。
文学を志し経済小説家になっていく城山、小説で食うことの難しさ、大江もそうだ。 奥さんへの哀惜に満ちた感情的なものではない。淡々と書かれている。
「ふと、容子に話しかけようとして、われに返り、「そうか、もう君はいないのか」と、・・・」

著者没(2007年3月)後発行の書である。 (初出:『小説新潮』2008年1月号/wikipedia)
大江健三郎「揩スしアナベル,リイ総毛立ちつ身まかりつ」初出:新潮2007年6月号、序章 なんだ君はこんなところにいるのか

1 仏語。僧が受戒後に安居・(あんご)・を行い終えること。出家後の年数はこの揩フ数でいう。法掾B臘・(ろう)・。「―を積む」

[2022年8月18日]

芥川賞受賞作、高瀬隼子作「おいしいごはんが食べられますように」文藝春秋九月特別号掲載を読む。
かって、日常生活を描く文学を考えたことがある。
会社での仕事絡みの描写に不自然さはない。題名とおり食べる飲むシーンが多い。 TVドラマでも飲食のシーンがあると、スムーズにドラマが進展するのと同じようなものか。
二谷と藤さん、二谷だけがさんなしであることから、二谷は特別の存在なのか。
わたし芦川さんのこと苦手難ですよね、5頁目に初めてわたしが出てくる。二谷は二谷さんになる。
9頁目、押尾さん、わたしは押尾であるのがなんとなくわかる、二谷さんはさんなしになる。
二谷、押尾、芦川さんの三角関係が描かれる。 通常、選評は読まないのだが、これが何故芥川賞か疑問があり、私は全く知らない選者、松浦寿輝の評に、閉じた小集団の内部での人間関係の力学が繊細な筆致で活写され・・・「芦川さん」の人物像の造形・・・恐怖小説・・・
これが面白く読ませたのか。

[2022年8月13日]

岩波ホールで映画「歩いて見た世界 ブルース・チャトウィンの即席ラーメン」を観たので、ブルース・チャトウィン著芹澤優真理子訳「パタゴニア」一九九八年鰍゚るくまーる発行を図書かから借りて読む。
初めの16ページは写真集である。
エッセイ、紀行文の範疇に、入るものであろう。
それも激しい紀行文。
アメリカ人の強盗団 p78、 カオリン p83、 グアナコ p114、 ボーア人 p118、 マテ茶、ドイツ人の住む家 p124、 日本の海賊 p131p135、 『テンペスト』 p145、 マゼラン”処女岬” p165、 ヒットラー p171、 クロンシュタットでの大虐殺 p185、 『地の果て』 p204、 ガリア人 p209、 インディオの虐殺 p210、 ラストホープ湾p262、 ミロドンp277、洞窟p286
登場人物が多い、多くの人種、部族が登場してくる。
混乱、グジャグジャ、それがパタゴニア。

先史時代の人間の手形、記事はどこなのだ。

スペイン人が来るイタリア人が来るドイツ人が来るボーア人が来るアメリカ人が来るそしてインディオを殺す。

[2022年6月16日]

田辺聖子著「田辺聖子 十八歳の日の記録」二〇二一年文藝春秋刊を読む。
女専卒か、優秀裕福だったんだ。
四月十一日、「青春は美し」を読む。
四月十八日、昨日有大掃除。・・・漢文不得意・・・祈御息災。
五月二日、ドイツの降伏!何ということだろう。
六月二日、六月一日の日、
八月十五日、何事ぞ!・・・・嗚呼日本の男児何ぞその意気の懦弱たる。、激しい軍国少女だったんだ。

[2022年4月13日]

樋田毅著「彼は早稲田で死んだ」文藝春秋二〇二一年十一月刊を図書館から借りて読む。
革マル派によって殺害された「川口大三郎君虐殺事件」(一九七二年十一月で全共闘後の事件である)
革マル派との対決を中心に書かれている。 革マル派が独裁政治の如く暴力でもって自治会を支配した状況を改革しようとして、著者は・・
山村政明さんの焼身自殺後の、皆さん(民青)の取り組みも承知しています・・・p23、民青の支援は受ける
ネットで調べると、山村政明が革マル派に恐喝されていたのが原因ではないとの書き込みがある(ゼロ地帯)。
臨時執行部の委員長に就任 p96 行動委員会 p105
団交実行委員会 p118
二連協 p148
大岩:面白がって入った進んで入った、 p217
「正しい暴力」という考えが根底・・p248

著者の体験を書いたもので、緊張感のある生々しいドキュメントだが、内ゲバの本質に触れるものにまで至っていない。

著者はセクトに属していないといっても民青の支持を受けていれば、内ゲバの範疇に入ってしまうだろう。ノンポリ、一般学生とは?

[2022年4月10日]

夏秋優著「虫と皮膚炎」学研メディカル秀潤社二〇一三年六月発行を図書館から借りた。
子どもの頃から今までに経験した虫刺され
アシナガバチ、蜂の巣を取り、そこから幼虫を取り出し、魚釣りの餌にする、その際数度指されたことがある。正確にはセグロアシナガバチだったようだ。
ミツバチ、花壇に蜂が群がっており、悪さしなければ刺さないものだが、刺されても痛みは軽かった。70年前のことでありニホンミツバチ。
ノミ、痒さで気がつく、洗濯ものに入っていて、アイロンかけたら診断書ことがあった。刺されれると痒いので?とって爪で潰していた。
蚊、今でも刺される。 ブヨも。いずれも種類は不明。
毛虫、ナベヤの柿の木に登って頭を数回刺された記憶がある。蛾の幼虫であり、この本からヒメクロイラガと推定され る。
以上は子供の頃の経験で、当然蚊には今でも刺される。
最近、紅い小丘が2点出て痒かったことがあった。この本からイエダニ?
イエダニは室内に棲息しているものではなく、ネズミの巣、換気口から入って来る。
虫と皮膚炎、貴重な本らしく、図書館に予約して、2,3年経って借りられた。価格は12,000円となっているが、ネットでは13、200円となっている。

[2022年4月10日]

谷口真由美著「おっさんの掟「大阪のおばちゃん」が見た日本ラクビー協会「失敗の本質」」小学館新書二〇二二年刊
巻頭対談*川淵三郎・谷口真由美 
第1章*カラスの群れにヒョウ柄ののおばちゃん p25
第2章*改革の急先鋒・清宮兄さんの失敗 
第3章*神輿に担がれて「新リーグの顔」へ p79
第4章*「チーム審査」と大義 p101
第5章*かくして「審査」は反故にされた p125
第6*日本社会を蝕む「おっさん」たちの正体 p149
おわりに p178

[2022年3月17日]

3月には、3.11に関する本を読むようにする。
河北新報社編「河北新報のいちばん長い日ー震災下の地元紙」二〇一一年十月河北新報社発行を読む。
グラビア 号外をつくる/白々と悪夢の夜は開けた。払暁をゆく/「ごめんなさいね、ごめんなさいね・''・・』/読者の手元へ
第一章 河北新報のいちばんながい日 p8
激震のあとに待ち受けていたのは「明日の朝刊は制作不可能」の報せだった。百年以上重ねてきた紙齢は絶えてしまうのか?社員たちの闘いが始まった。
「人間は本当の恐怖症を感じると言葉を失うのだ」 p11
「白河以北一山百文」 p26

p32を読んでいる時、震度5弱の地震(震源地福島県沖)が発生した。3/16

第二章 気仙沼から届いた手書きの原稿 p58
一夜明けた被災地は、がれきの中に子どもの遺体が転がる凄惨な現場だった。津波に呑まれて九死に一生を得た総局長は、かじかむ手でペンを握った。
第三章 死者と犠牲者のあいだ p99 
県庁から飛びこんできた「死者一万人以上」の原稿にどのような見出しをつけるか。・・・本社整理部員たちは激しく懊悩した。
第四章 配達が大好きだったお父さんへ p119
かってこれほど新聞が読者に求められた事があっただろうか? 販売店は、震災下でも困難をおして読者に新聞を届け続けた。
第五章 窮乏するロジスティクス p142
河北自身もまぎれもない被災者だった。食糧、ガソリン、用紙。物資の調達は報道機関としての生命線だ。社員は工夫をこらして難局を乗り切った。
第六章 福島原発のトラウマ p167
放射能汚染から社員を守るため、河北新報は一時退避を決断した。だが、共同電頼みの紙面作りに、記者たちの焦燥感は募るばかりだった。
福島県・・・移住したい都道府県ランキング一位に輝いたこともある。p183、そんなこともあったのか。
第七章 避難所からの発信 p193
テーマを深く掘り下げた報道こそ、地元紙に求められているのではないか。そんな思いが、「避難所はいま」「ふんばる」という二つの連載企画に結実した。
第八章 被災者に寄り添う p218
現場の記者の不満を肌で感じた次長の鹿又は、報道部全員にアンケートを実施することを提案した。記者たちが感じた怒り、苦痛、そして喜びとは?
第九章 地元紙とは、報道とは p247
震災から半年以上たった今も、河北は被災者目線で検証報道を続けている。だが、いったい地元紙として何をなしえたのか?武田の自問自答は続く。
あとがき p267

[2022年3月13日]

真山仁著「ロッキード」文藝春秋二〇二一年一月発行を市立図書館から借りて読む。
狭い家に本を置く場所もなく、年金生活であり最近は図書館から借りて読むことが多い。予約の分順番待ちで、読みたいと思ってから大分経ってしまう。
田中角栄、ロッキード事件に関わる本は数出ているが、真山仁のノンフィクションであることから興味を持った。
序章 霧の中の大迷宮 p11
元最高裁判事園部逸夫「思い返せば、あれはなんだったのかと思う事件です。事件が最高裁に上がる前から、深い霧の中を歩いているような感覚が、ずっと拭えなかった」
トライスター:ロッキード L-1011 トライスター は、アメリカ合衆国のロッキード社が開発・製造した同社唯一のワイドボディ3発ジェット旅客機である。(Wikipedia)
747、777はボーイング社
角栄、5億円で外為法違反受託収賄罪で4年の実刑判決
第一部
第一章 アメリカから飛んで来た疑獄 p20
1 闇の紳士をあぶりだすのか p20
2 前代未聞の事件着手 p29
3 不可能の壁を破った突破力 p38
4 TANAKAのモジ p42
第二章 政治の天才の誕生 p56
1 豪雪地帯が角栄に与えたもの p56
2 マイナスカードとの戦い p59
吃音に悩まされ内気な少年に
真山仁 吃音に悩まされた
大杉栄も吃音だったな
「どもりがなおった人というのは、みんな饒舌家です。・・・」 p62
3 選挙区の”アニ”になる p65
4 同床異夢で臨む日米首脳会談 p91 
5 日中国交回復の意義 p98
6 二度と戦争を起こさせないために p108
7 狂乱物価と『日本列島改造論』 p116
第三章 金権政治の烙印 p120
1 カネでは靡かぬ男たち p120
日本社会には、政治は「お上」に託し、庶民は真面目に働くものだという暗黙の了解があった。 p123
2 四面楚歌の果てに p125
3 角栄は金権政治家だったのか p136
4 金権選挙の本質にある何か p144
5 ロッキード事件に至る道 p154 第二部 
第四章 トライスター請託の不可解 p162
1 総理が民間企業に口利き? p162 2 「職務権限」という壁 p170
3 不可解な解釈の連続 p178
第五章 五億円とは何だったのか p187
1 違和感だらけの五億円授受 p187
2 五億円の意味 p195
五億円は財界からのご祝儀? p198
「あり得る」 p199
3 本当にカネを受け取ったのか p205
笠原は、・`・自殺 p211、政治家絡みの事件で秘書等の自殺は親分を庇ってのかと思っていたが、実際は、検事による激しい取り調べで嘘を言わなければならないことに耐えられなくなったと考えるほうが妥当だろう。
4 榎本敏夫という落とし穴 p219
5 佐藤昭の逆襲 p232
第六章 裁判所の不実 p246
1 日本に存在しない法制度 p246
2 最高裁判事の心残り p254
第七章 吉永祐介の突破力 p260
1 吉永なくしてロッキードなし p260
第八章 毒を喰らった男 p269
1 全日空に多数の逮捕者 p269
2 愚直な記録者・本所次郎 p276
3 「捨己」の男が突き進む p283
4 角栄の腹の内 p292
DC-10 ロッキード 三井物産 p297
5 大型機導入よりも p303
6 全日空残り視点に立つと p312
L10(トライスター) p317
7 若狭の覚悟 p321
PXL:Patrol X Land 次期陸上発進対潜航空機 p326
P-3C ロッキード 
第三部
第九章 もう一つの疑惑 p330
1 歴史は繰り返されるのか p330
P-1 川崎重工製対潜哨戒機
C-2 川崎重工製輸送機
F-2 アメリカのF-16をベースに三菱重工が各種改良を加えて開発された機種
X-2 p333
F-35 F-35 ライトニング IIは、単発単座のステルス多用途戦闘機、ロッキード・マーティンを中心とする複数の企業が製造 p334
自衛隊の戦闘機 F-4,F-15,F-2,F-35 p336
2 すべてはニクソンから始まった p338 3 世界を揺るがせたチャーチ委員会 p348
第十章 児玉誉士夫という生き方 p357
1 絶対無比の黒幕 p357
2 もう一つのロッキード事件 p367
3 CIAの影 p376
4 日系CIA三人衆 p386
5 コントラーラー p396
第十一章 対潜哨戒機 p405
1 ソ連原潜の脅威 p405
2 「海の忍者」を見つけよ p410
3 P・3Cを日本に売れ! p415
第十二章 白紙還元の謎 p423
1 別の国産化 p423 
T-2,ジェット練習戦闘機 三菱重工、FST-2,T-2シリーズ 国産 p424
2 元大蔵省主計局長の反論 p433
3 防衛庁の理想と現実 p441
第十三章 ”MOMIKESE”と訴えた男 p449
1 角栄の深き因縁 p449
2 自主防衛の誤謬 p459
3 キッシンジャーの秘蔵っ子 p468
《キッシンジャーはよく話したなと思いましたね。「田中をやったのは間違いだった」という表現でした》 p476
4 中曽根ー児玉ライン p477
5 中曽根の狼狽 p488
第四部
第十四章 角栄はなぜ葬られたのか p500
1 正義と必要悪の衝突 p500
2 キッシンジャーの暗躍 p506
3 ロッキード事件が映し出す日米関係 p512
4 70代という年代 p519
5 角栄を葬った怪物の正体 p526
終章 残された疑惑 p534
1 二一億円の行方 p534
2 ワールドワイドの視点 p545
3 佐藤栄作への疑惑 p553

ロッキード事件はどうもおかしいと感じていた、この本はそれを裏付けてくれる。金権についても、田中角栄は自分で稼いだもの、他の政治家は財界からのお恵みと考えていた。
田中角栄という政治家は中学生の頃から知っていた。Wikipediaを見ると角栄が郵政大臣の頃だ、大臣になったことで話題になっていたのだろう。
コロナ渦、どう動いたのだろうと考えてしまう。
田中角栄は官僚を活用した。安倍晋三は官僚を自分の言いなりにした。

[2022年3月2日]

ソン・ウォンピョン著「アーモンド」矢場暁子訳祥伝社二〇一九年一月発行を読む。
昨年「三十歳の反撃」を読み、これも読んでみたいと思って図書館に予約し、順番が来て読むことになったわけである。予約し一年くらいかかったことになる。
題名のアーモンド、ナッツの一種なのだが、ここでは脳の中の扁桃体を意味する。扁桃腺炎は馴染み深いもので、これがアーモンドとはと思い調べてみた。
古めの辞書、大辞典(昭和四十年初版発行)で見ると、【扁桃】ヘンタウ[植物]「アメンドウ」Amendoa(葡萄牙語)のこと。一種の桃核。となっている。
明解国語辞典昭和四五年改定新装版では、[生]【扁桃=アアモンド】となっている。アアモンドで扁桃は出てこない。
広辞苑第二版では【扁桃】アーモンドの別称、アーモンドを引くと扁桃とある。
アーモンドは進駐軍が広げた言葉なのだろう。いや、アーモンドチョコレートから広がったのだ、それ故、扁桃には結びつかなかったのだ。と自己肯定。
この小説は扁桃体を萎縮している少年の独白小説である。
プロローグ p9 この物語は、怪物である僕がもう一人の怪物に出会う話だ。 
第一部 p11 その日、一人が怪我をし?六人が死んだ。・・・・いつものように、無表情で。
「目立たないことよ。それだけで意味があるわ」 p35
第二部 p67 高校生活
デミアン p94
第三部 p173 ドラ
第四部 p219 ゴニの出奔、まんじゅう、針金 
主人公の僕、ソン・インジュは、平気で暴力に身を晒す、ブラックボックスのサクマを一寸連想した。
エピローグ p255 高校を卒業

[2022年2月11日]

昨日、GEOで文藝春秋三月特別号を購入した、芥川賞受賞作が載った文藝春秋を長年購入していたが特別号となっているのには気がつなかった。
芥川賞受賞作、砂川文治作「ブラックボックス」を読む。
スピード感のある文体で、自転車のメカニカルな話が続き読みやすい。
サクマはメッセンジャーであり、職業小説である。バイクメッセンジャーに関して詳述される。かって、仮想通貨、コンビニを描いた受賞作もあった。
トランプ大統領がコロナにかかった・・p298、持続化給付金目当てに・・・p320、現在的小説であるが、コロナウィルスを背景にはしていない。
キャノンデールのCAAD9 p274、楽天の中古品で95,700円だ。
木工作業に従事して p300、?金工作業では
アパート・・・・ブラックボックスだ。 p284、これが題名の謂れかと思っていたが、後半刑務所生活が描かれ、それか 
サクマは通常考えられないような警察官に対する暴力事件を起こす p316
たぶん職場と家の往復ばかりで・・・房と作業所・・・往復運動は変わらない・・p322
帰宅の時間をしないことの冷却期間は三十分くらいで、勝手な買い物をしたときのそれは一週間くらいで、役人をボコボコにしたことに対する冷却期間はニ年だということだったのだろうか。 p328、刑期は二年か 
小学校の六年間が最長でーー刑期全うしたらこれと並び、 p332、すると刑期は?
早いテンポの文体、メッセンジャーの世界、暴力的な、閉鎖状態にあるサクマ、読んでいても面白い、しかし、新しい文学としての価値は見出せない。

選評は読まないとしているのだが今回よんでみる。小川洋子:サクマを取り囲む壁の冷ややか・・・最も真正面から文学にぶつかっていった作品、島田雅彦:現在巷で流行る理不尽極まる突発的犯罪の背後に見え隠れするものを確実に捉えている。、吉田修一:ふざけんなよ・・・打楽器、ここに圧倒的な実感がある。、山田詠美:なかなか来ない刑期満了の人生の息苦しさを畫いた・・、奥泉光:伝統に依ったリアリズムへの徹底が力作に結実した、川上弘美:過剰に細密なるものを見たとき、わたしたちは賛嘆すると同時に、苦しくもなるのではないでしょうか。平野啓一郎:どのようにして躓くのかという分析にも迫力がある。、松浦寿輝:自然主義理 リアリズムの古めかしさと裏おもてで、そこから現代のプロレタリア文学か、堀江敏幸:最もよく計算されたものだった。・・刑務所内での閑居罰によって生まれた明るい空間だ。

苦役列車の西村賢太が亡くなった。

[2022年2月3日]

亀山郁夫著「ドストエフスキーとの旅」において、ナボコフはドストエフスキーを評価してないとかいており、ウラジミール・ナボコフのロシア文学講義(上)河出文庫のドストエフスキーの項を読んでみる。ネットで調べると、一九四〇年、ナボコフ五一歳の時の講義に基づく評論集である。
ドストエフスキーを否定する。そうゆう作家がいることを否定はしない。
フョードル・ドストエフスキー p223
父親はモスクワの貧民施療院の医師だったが、施療院の医師という地位は当時のロシアでは低いもの・・ドストエフスキー一家派ごみごみした一郭に住み・・・p227、旧貴族であるナボコフの蔑み・・
私たちは、 「感傷性」と「感受性」とを区別しなければならない。 p235、    
「イエスを垂れ流して歩く」 p238
ドストエフスキーの趣味の欠如、フロイト以前のコンプレックスに悩む人物たちの短調な扱い方、人間の尊厳が蒙る悲劇的な災難に淫するやり方などー・・・p237
最良の作品は、私見によれば「分身」である。 p238
支離滅裂な狂人の、あるいは気違い病院から出てきたばかりで、すぐまたそこへ帰ろうとしている人の反応は・・)p243、
つまり、一つの作品の始めから終わりまで作中人物の性格の展開というものは全く見られないのである。・・・作中人物たちはさしたる変化もなしにとどまる。 p248
『罪と罰』(一八六六年) p250
私が初めて『罪と罰』を読んだのは四十五年前、十二歳の頃だったろうか。p250、ということは、この講義は、五十七歳の頃か
この作品の欠陥
殺人者ラスコリーニコフが少女ソーニャを通じて新約聖書するという、贖罪の始まりの場面!・・・「殺人者」と「淫売婦」と「永遠の書」ーなんという三題噺だ。p252
ソーニャの商売の現場はただの一度も見せられない。 p253
なぜラスコーリニコフは殺したのか、動機づけは極端に混乱している。 p253
クロポトキン・・「・・・予審判事やスヴィドリガイロフのような人物、いわゆる悪の化身というものは、ロマン主義的な作り事にすぎない」。 p237
「ねずみ穴から出た回想記」(一八六四) p259
第七章の初めに・・・・しかし、こんなことはすべてきれいごとの空想にすぎない・・・・・・(新潮文庫江川卓訳ではp32)
ドストエフスキーの凡庸な模倣者、サルトル p263
単語や句の反復、憑かれたような語調、百パーセント陳腐な一つ一つの言葉、俗悪な街頭演説的雄弁などが、ドストエフスキーの文体を構成する諸要素の特徴である。 p264
ドストエフスキーはドイツ人や、ポーランド人や、ユダヤ人に、一種病理学的憎しみを抱いていた。 p271
喜劇と悲劇を混ぜ合わせるすばらしい才能があった。一流のユーモリストと、この作家を呼ぶこともできよう。 p273、嫌味だな 
貧しいリーザ(ソーニャの姉だ) p281
ひょっとすると私よりあなた方の何人かのほうがずっとこの作品を好きになるかもしれない。 p281、ということはナボコフは少しは好きだということか 
『白痴』(一八六八) p282
この項、六頁であらすじを紹介し批評することは少ない。
(この作家は普通の人間よりは狂った人間のほうがよほど好きなのだ) p283
ミルスキーの評言「彼のキリスト教は非常にいかがわしい種類のもので・・・・・」 p285
芸術家の指の軽いタッチを思わせるトルストイの方法と比べると、まるで棍棒の打撃のようにわたしには感じられる・・・p287
『悪霊』(一八七二) p288
劇作家 p289
ドストエフスキーは小説家というよりむしろ劇作にふさわしい人 p293
ほとんどユーモアはないが、・・辛辣なユーモア、・・晋仏戦争という曲・・(第二部第五章の1)  p293
『カラマーゾフの兄弟』(一八八〇) p296
章の見出しはいかにも異様であり、不可解である。・・第3章以下・・ p296
「わたしは永いこと町の名を隠していたのである」(第四部第十一編第二章) p297
読者に初めからこの「悲劇的な謎の死」を予告してしまう p298
グルーシュニカは・・・「地獄のような」ドストエフスキー的女性の一人 p299
意味慎重な星印(*)の連なり p300、 
アリョーシャは間違っていたのである。ドミートリは首にかけていたお守りのことを言ったのだった。 p302
中学生コーリャ・・・このすばらしい物語にすら、アリョーシャは猫撫で声に似た不愉快な冷気を持ち込むのである。 p303
薄暗い小径が読者を導く先は、芸術の精神に見放された、冷たく陰気な理詰めの世界である。p304

[2022年1月29日]

亀山郁夫著「ドストエフスキーとの旅」岩波現代文庫二〇二一年十月発行を読む。借りて
ドストエフスキーには、複層性多層性があり、読んでいるうちに、ドストエフスキー自身は段々遠くなるように感じていた。
ドストエフスキー、あなたはだれなのか。
プロローグ
目次
T 「父殺し」の起源 p1
アイデンティティクライシス 二〇〇八年十月、モスクワ p2
根源を隠し続ける作家・・・ドストエフスキー
答えがあるんじゃないか、見出しの「父殺し」じゃないのか?
二枚舌
「誕生」の瞬間 二〇〇七年二月、モスクワ p6
転向を演技するため、否応なく「二枚舌」
「根源」という糸 二〇〇一年九月、ザライスク p10
ダロヴォーエとチェルマシニャー
ラスコーリニコフの故郷がザライスク、
R県つまりリャザン県、あ大寺院があった町はザライスク
シャーマンの声 二〇〇一年九月、チェルマシニャー p14
「父殺し」の現場
「黙過」と「憐憫癖」 二〇〇九年一月、東京 p18
無意識の回廊 二〇〇九年一月、東京 p22
「出会い」の原点 一九六三年八月、宇都宮 p26
中学三年の夏休み『罪と罰』 第一部を読み終えた・・・
もうひとつの親殺し 一九五七年二月、宇都宮 p30
文学少年 一九六六年十月、宇都宮 p34
この本は自伝でもあるのか、納得。
文学者(?)は大体が中学生の時にドストエフスキーを読んでいる。わたしが育った家には文学書というのはなく、不思議なことに尾崎士郎の「人生劇場」と霧山徳爾訳「夜と霧」があった、図書館から借りて、戦雲アジアの女王、芸者学校を読んだ記憶がある、武者小路実篤を読んでいた。
U 激動の青春 
「地下室」の記憶 一九六八年五月、東京 p40
わたしのこの電文調の「自伝」、電文調??
第二部「ぼた雪の連想」のラストシーン ロマンティストの無残 一九六八年六月、東京 p44
お手上げだった『地下室の手記』に比べ、『白痴』からは圧倒的喜びを得ることができた、
鑑賞家の恋 一九六八年八月、宇都宮 p48
ジッドの『田園交響曲』・・・牧師は、野育ちのその娘を連れ帰り、ジェルトリュードと名づけて教育を施す。・・・
これって中学三年の時、  先生が話してくれた小説ではなかったか。
先生の名前は失念、英語の先生だったんだが。
裏切り者 一九六八年十月、東京 p52
バリケード封鎖・・・割り振られたピケの時刻が過ぎると、文字通り、尻尾を巻いて逃げかえった。
実存主義を疑う 一九六九年十月、東京 p56
サルトルの実存主義に違和感を覚えたての葉、わたしが単に臆病だったからにすぎない。
V 『罪と罰』体験
再挑戦 一九七〇年九月、宇都宮 p62
二度目の『罪と罰』体験、原書での読了
三度目は現在
「意思の書」、「運命の書」 二〇〇九年四月、東京 p66
傲慢、または生の証 二〇〇九年四月、東京 p70
「意思の書」から、一種の「運命の書」
世界が終わる夢を見る 二〇〇九年四月、東京 p74
「繊毛虫」
パンデミック
このエッセイの二〇〇九年にもパンデミックを取り上げていたのか、ドストエフスキーは罪と罰で
王宮橋からの眺め 二〇〇九年五月、サンクトペテルブルグ p78
一億倍も醜悪なこと 二〇〇九年四月、サンクトペテルブルク p82
予審判事ポルフィーリー
「あのばあさんを殺しただけですんでよかった。別の理屈でも考えついていたら、いちおくばいも醜悪なことをやらかしていたかもしれないんです!」
ホテル「サン・ラザール」 二〇〇九年五月、パリ p86
W 甦る『悪霊』
三島の死 一九七〇年十一月、東京 p92
霧の彼方の地獄 一九七二年一月、東京 p100
『罪と罰』はできるだけ早い時期に読んだほうがよいが、『悪霊』はできるだけ遅くまで読まないほうがよい。
決別 一九七二年三月、東京 p104
浅間山荘事件
文学とは、あくまで文字のテクストと対峙しつつ、その対峙からうまれる精神の営みをしっかりと書きとめる作業を意味していたのだ。
X ウリヤノフスク事件
プーシキンー・メダル授賞式(一) 二〇〇八年十一月、モスクワ p110
クレムリン宮殿
事件の発端 一九八四年八月、ウリヤノフスク p114
レーニンの故郷
内務省
尋問 一九八四年八月、ウリヤノフスク p118
社会主義の神 一九八四年八月、ヴォルゴグラード p122
恐怖の帰路 一九八四年八月、ハリコフ p126
甘い傷の疼き 一九八四年九月、ナホトカ p130
他人に疑いをもたれることの恐ろしさは、人間がその疑い自分から進んで同意しようとする不可解な衝動にある。
プーシキン・メダル授賞式(ニ) 二〇〇八年十一月、モスクワ
Y カタストロフィ
「怒りの日」 二〇〇一年九月、ロンドン p140
ベートーヴェン交響曲第三番第二楽章
汚れた青空の下で 一九七六年八月、セミパラチンスク p144
ドストエフスキー 国境警備隊に配属
健やかな午睡 二〇〇九年八月、広島 p148
平和記念資料館
決壊 二〇〇九年六月、東京 p151
秋葉原事件、乗鞍岳畳平バスターミナル事件
平野啓一郎 「許しの問題で一番むずかしいのは、許す本来の主体がもうすでにいないということだと思う」
「わたしは恥ずかしい」 二〇〇九年十月、郡山 p155
高村薫 『太陽を曳く馬』
「ドストエフスキーの登場人物で自分に一番誓いのは『悪霊』のスタヴローギンです」
「『罪と罰』は、神の被造物である人間がどこまでも悪魔的な方向に傾く物語なのかからそれとも神の枠組みを離れた本質的な人間の欲望の物語なのか」
四十六の瞳 二〇〇九年十月、松山 p159
罪と罰 女子高校生 「わたしには、どうしても希望があるように思えないんです」
チェチェン戦争の影 二〇〇八年二月、モスクワ p163
ドストエフスキー「わが国は無制限の君主制だ、だからおそらくどこよりも自由だ」
天上のパンと地上のパンは、いつどこで出会うことができるのか。
二〇世紀の「邪宗門」 一九九五年三月、東京 p167
オウム真理教
疑い、ウリヤノフスク事件
還暦の太宰 二〇〇八年一月、東京 p170
ドストエフスキー・・・太宰治にはないマゾヒズムの力
小説に挑戦する 二〇〇〇年一月、東京 p174
瓦礫のなかの「四次元」 二〇一一年七月、釜石 p178
釜石、大船渡、気仙沼、石巻、仙台、福島県相馬
Z ロシアの幻想
三つの類 二〇〇八年七月、サンクトペテルブルグ p184
オペラ『カラマーゾフの兄弟』
グーグルアースの七百三十歩 二〇〇八年七月、サンクトペテルブルグ p188
「空間を貪り食いながら」 二〇〇三年十一月、スターラヤ・ルッサ p192
モークロエ村、現実の村の名前はブレーギ
「過去」との別離 二〇〇六年一月、モスクワ p196
ロシアで心おきなく会える友人が、いつのまにか一人もいなくなった。
ロシアヘイトの根源 二〇一四年九月、チェルノブイリ p199
マレーシア航空機がドネツィク州上空で狙撃
ゴーストタウンと化したプリピャチの森
神隠し 二〇一八年八月、バーヴロフスク p203
ブスコフ
ワクザール
幻想の『吊り橋』 二〇一八年、トヴェーリ p207
『悪霊』の時空間は、他の作品とくらべて著しい歪みを含んでおり
[ ヨーロッパの幻影
絶対愛への羨望 二〇〇二年十二月、ドレスデン p216
神々しいゲルツェン 二〇〇九年九月、東京 p220
ゲルツェン
チェルヌィシェフスキー
楽園喪失 二〇〇四年一月、バーゼル p224
ハンス・『墓の中の死せるキリスト』
ドナウの黄昏 二〇〇四年九月、ベオグラード p238
「パリの奇跡」 二〇〇四年一月、 パリ p232
最高に冷静な読者 二〇〇四年三月、ロンドン p236
『こころ』は、ドストエフスキーが、『カラマーゾフの兄弟』で描きあげたドラマと同じ原点に立っていた。「遺産相続」 兄弟の葛藤 「父殺し」
裁ち割られた書物 二〇〇四年三月、ロンドン p240
スターリン
『秘密ファイル』
ロワ墓地、または苦い後味 二〇一九年十二月、ジュネーヴ p243
ルソーの『告白』を秘密兵器のように用いて意趣返しを試みたのが、『白痴』と『悪霊』
ロワ墓地 愛娘ソフィアの墓
ナボコフの呪い 二〇一三年十二月、ヴヴェイ p247
レマン湖のほとりにある保養地
『ロシア文学講義』
まひわの聖母 二〇一九年十二月、フィレンツェ p251
『白痴』の深層構造
水の迷宮 二〇一九年十二月、ヴェネツィア p255
『極楽の門』
「黄金」の時 二〇一九年十二月ヴィースバーデン p259
『賭博者』
\ ひそやかな部分
続編を空想する(一) 二〇〇七年八月、東京 p264
大江健三郎が『カラマーゾフ』 第十編に注目 『洪水はわが魂に及び』
続編を空想する(ニ) 二〇〇七年九月、東京 p268
許されざる者 二〇〇五年五月、新宮 p272 
辻原登『許されざる者』 大石誠之助
犬殺しのミステリー 二〇〇七年三月、 東京 p276
イリューシャ
罪なきものの死 二〇〇八年三月、東京 p279
少年イリューシャ
父の「実像」 二〇〇九年ニ月、東京 p283
子の帰省 待てど返なし 三日果つ
蘇る「カフカ」 二〇〇九年十二月、成田 p287
「父殺し」 「オイディプス」 イワン
『水死』「終戦の夏、父はなぜ洪水の川に船出ししたのか?」
絶滅収容所(一) 二〇〇九年十二月、プノンペン p291
カフカ『流刑地にて』・・「拷問機械」
絶滅収容所(ニ) 二〇〇九年十二月、プノンペン p295
大江健三郎「水死」
『こころ』の主人公の「欺瞞性」
「水死」の記憶 一九六一年八月、宇都宮 p299
「仏作って、魂入れず」 二〇一三年八月、ロンドン p303
小説は二〇一五年の秋に完成
批判「崇高なオリジナルを汚すのはいただけない」
二〇一三年に二〇一五年の話??
語られざる何か p307
新しい小説の構想・・「カラマーゾフの兄弟」の日本語版続編
] 新たな旅たち
十年後のマンハッタンにて 二〇一一年八月、ニューヨーク p312
「人間は、何ごとにも慣れる存在なのだ」
「あなたは、要するに、moverなのね」
月桂樹とレモンの香り 二〇一六年六月、セヴィリア p316
大審問官
セヴィリアの大聖堂 巨大
虐殺の匂い、柘榴の香り 二〇一六年六月 グラナダ p320 
大聖堂
罪と罰 ロルカの詩
セミパラチンスク時代の小説、伯父様の夢
魂の成熟 二〇一九年七月、ボストン p324
一九九二年生誕百年の・・・独ソ戦開始後まもなく、ヴォルガ河畔で非業の死を遂げた女性詩人 ? 
ヴォルギン著「ドストエフスキー最後の一年」
AI時代のバッハ 二〇一九年八月 東京 p329
BWV12番「泣き、嘆き、憂い、怯え」・・・ドストエフスキーのメッセージ 
「喜々津よ」 二〇一九年十月 島原 p333
彼(加賀乙彦) 江川卓「謎とき罪と罰」にキリスト教がわかっていない 
虚しい抵抗 二〇二〇年二月 名古屋 p337
国際シンポジウム
最晩年の手帳「私はなにも小さな子どものようにキリストを信じ、キリストの教えを説いているわけではない。私のホサナh大いなる懐疑の試練を経ているのだ」 
一匹の蝶の羽ばたき p341 二〇二〇年五月名古屋 
罪と罰 選民思想 
「全世界が、ある、恐ろしい、見たことも聞いたこともない疫病の生贄になる運命・・・
「もしわたし自身が正しい人間であったら、わたしの前に立つ罪人はそもそも存在しなかったかもしれない」 カラマーゾフの兄弟
死の謎 二〇二一年五月、東京 p345
イーゴリ・ヴォルギンの著書『ドストエフスキー最後の一年』
革命家たちへの隠れシンパ p346
エピローグ p349
一信仰者としての事実と、革命家たちへの隠れシンパというもう一つの事実  p346
アパートの隣の部屋は「人民の意思」のアジド 
魂の地図 あとがきに代えて p353

黙過
人間のだれもが、すべての人、すべてのものに対して罪があるーカラマーゾフの兄弟第二部

ドストエフスキーの二枚舌、しかしそんなばれそうなものではないだろう。秘密警察の眼を逃れるために完全にカムフラージュして生きていく。 文学への強い志、表現への強い思い。 「作家の日記」もそれを補助していくものだ。皇帝への忠誠もそうだろう。 悪霊における魅力的な登場人物、必要以上の無神論への批判。逮捕されても完全に反論できる作品。ロシア正教を賛美はせず、強鞭派描く。
亀山郁夫は翻訳家であり、ロシア文学研究家である。失礼ではあろうが、ドストエフスキーのファンでもある。これが嬉しい、聖地巡りをしたのである。
私は全く微小なファンである。

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